ブログトップ
つれづれかんげき日記
黙阿弥オペラ
作:井上ひさし 演出:栗山民也
出演:吉田鋼太郎、藤原竜也、北村有起哉、大鷹明良、松田洋治、熊谷真実、内田滋、朴勝哲
紀伊国屋サザンシアター 上演時間3時間15分、別途休憩15分!
6:30に始まって終わりは10時過ぎ。当日券は売り切れと満席!
チケットは運よくはじではあるが前から3列目。
役者さんのつばとごはんくずの拭き出るのをまじかで見ながら観劇。
長い上演時間だが、あっというまの3時間30分だった。
演出のテンポがよく、話の切り替えもいいタイミングであり、まったく飽きさせなかった。
そして役者の演技が、引きつける。
シーン最初。外は雪の年の瀬近く、古びた蕎麦屋の戸を乱暴に叩く男二人。声だけ聞いただけではだれだか分らなかったが、年取った女主人が戸をあけて中に入ってきた男の一人は藤原竜也!びっくり、声が太いあらくれの若者になりきっていて、おなかから染み出るような発声だった。
老女は熊谷真実が演じているが、老女の声、動きと見事だった。声をつぶしてしまっているようだったが、それでもセリフは聞こえる。すごいなあと迫真にせまる老女役。

芝居は、幕末から明治にかけて、たまたま橋から川へ自殺しようとした二人、ともに「死ぬな」と自殺を止めあうところから話が始まる。二人は蕎麦屋で老女と三人、息が合い、その後、北村さん、大鷹さん、松田さんの3人が加わり6人で株仲間を始める。何の株かというとたまたま捨て子された小さな女の子。その子をみんなで出資して育て上げる。

吉田さんがのちの黙阿弥を演じていて、芝居を大切に思い、芝居を通して世の中を見る考え方など、セリフに力強く入ってくる。井上ひさしのことばそのものだと感じた。

世は、文明開化、日本が不平等条約を変えるためにも文化が進んでいることをアピールしたい。だが、黙阿弥は
「かっこうばかりまねしてもだめ。自分の頭で考え、自分たちで作って、それが庶民自らが望んだものでなければ文化とはいえない。」
「時代が変わっても人のこころとことばはかわらない。だから芝居というものは変わらない」
「どんなに西洋風につくったって、お客様のため、お客様を喜ばせるものでなくてはならない。政治も一緒。そこができていないから政治がだめなんだ。政治家だけでなく、われわれ庶民にも責任がある」
「お客様は、日々、辛かったり、悲しかったり、そういう時にお芝居をみて、泣いたり、怒ったり、笑ったり、そして心のつらさを西の海にすてるのさ」
というようなセリフがたくさんあって、演劇を見ることを市民活動として行っている私にとって、心に残った。本を買って、正確なセリフを覚えたいと思った。

登場人物は、時には打算的に、人間臭い。黙阿弥のみが真っすぐな人間に描かれている。
でもどの登場人物も、憎めない。
井上ひさしの舞台を見るといつも、ある特定の人物だけが悪いのでない。それぞれの暮らし、生き方がある。そして、人は間違うことがある。悪い人もいい人も。歴史から、どうして、間違えてしまうのかを考えるヒントを井上作品は感じさせてくれる。
また一人の人間の、細かい悩みにも答えを出してくれているような気がする。

北村有起哉さん、MOPの前回作、リボルバーにもでていたときにも、気になる役者さんだったが今回もいい感じでした!北村和夫さんの息子さんですって!
c0226545_23311978.jpg

[PR]
by joi-satoimo | 2010-07-24 23:31 | 観劇
<< 落語 アイロンかけと娘のバイト >>